「奥様ですか、これから処置致しますので、こちらでお待ちください」

「あの、大丈夫でしょうか」

私は気が動転して、パニックを起こしていた。

「大丈夫ですよ」

しばらくすると、秘書の山元さんが駆けつけてくれた。

「奥様、大丈夫ですか?」

「すみません、私のせいです、どうしたらいいか」

私は手の震えが止まらなかった。

「奥様のせいではありませんよ、大丈夫です」

処置が終わり峻はしばらく入院する事になった。

「麻酔が効いていますので、目が覚めたらナースコールを押してください」

「ありがとうございました」

私は心配で、峻の側を離れられなかった。

「奥様、少しお休みになってください、無理なさいますと御身体に触ります」

秘書の山元さんは気遣ってくれた。
案の定私はめまいを起こし、別室で休むことを余儀なくされた。

その頃峻は目を覚まし、私の姿が見えないことで自分の元を去ったのではと嫌な予感が脳裏を掠めた。

「社長、大丈夫ですか、心配しましたよ」

秘書の山元さんは社長に声をかけた。

「山元、雫は何処だ」

「奥様は疲れが出たようで、別室にて休んで頂いています」

「そうか」

峻は安心してほっと胸を撫で下ろした。