「俺は雫にどんどん惹かれていった、利用しようとしたのに、誰にも渡したくないと独占欲が俺の中で大きくなった、唯香への気持ちを大きく上回ったんだ、だから雫とずっと一緒にいたくなった、この間唯香と会っていたのは別れ話をしたんだそこを写真に撮られたんだろう」

峻は私の顔を覗き込み、様子を伺った。

「あの、私」

その場にいることが苦しくてドアに向かって歩き出した。

「何処に行くんだ、雫」

峻は私の腕を掴み抱き寄せた。

「雫、どこにも行くな」

私は峻に抱きしめられて、涙が溢れて止まらなかった。

「雫」

「ごめんなさい、私が峻を責める資格ないし、峻は何も悪いことしてないし、唯香さんと別れちゃ駄目ですよ、だって唯香さんを愛してるんですよね」

「違う、愛しているのは雫だ」

「信じられません、唯香さんと結婚したくて、私を利用しようと思って、なのに唯香さんへの気持ちより私に対しての気持ちが上回るなんてありえません」

「雫」

「チビちゃんを出産後追い出されたら、私、一人で生きていけません」

峻は私にわかって貰おうと必死に訴えた。

「契約は無期限と言ったはずだ、雫を追い出したりしない」

「でも、初めは私と離婚して唯香さんと結婚する計画だったんですよね」

「それは初めのことで、俺は・・・」

峻は私を抱きしめようとした、しかし、私は峻の手を振りほどき、後ろに下がろうとした。
瞬間バランスを崩し、倒れそうになった私の身体を、峻は庇ってくれた。
峻は頭をテーブルの角にぶつけて、出血をした。

「痛てえ」

「峻、血が出てます、どうしよう」

「大丈夫だよ、雫は怪我ないか?」

「血が止まりません、救急車を呼びます」

峻は救急車で病院へ運ばれた。