この時私は峻への気持ちをはっきり自覚した。
峻が好き、峻の側にいたい、例え契約の関係だとしても・・・

ちゃんと確かめよう、峻の気持ちを・・・
私は琉に置き手紙を残し、峻のマンションへ向かった。

その頃峻は、私が自分の意思で琉の元へ行った事に対して、動揺を隠しきれずにいた。
毎日お酒を浴びるように呑んでいた。
この日も仕事が終わると、一人で部屋でお酒を呑んでいた。

私が峻のマンションへ到着するとコンシェルジュの千賀さんが声をかけてくれた。

「雫様、お戻りになられたのですか」

「まだ、戻れるかわかりません、峻に許して貰えるかわからないので」

私は下を向いてどうして良いか困っていた。

「大丈夫ですよ、冴木様は雫様をとても心配されておりましたから」

「だといいのですが」

私は首を傾けて表情を曇らせた。
エレベーターで峻の部屋へ向かった。

部屋に入ると、私の目に飛び込んできた光景は、信じがたいありさまだった。
脱ぎっぱなしの服が散乱し、幾つものカップやお皿が汚れたまま放置されていた。
お酒の瓶が無数に置かれ、一人で呑んだとは思えない程の数があった。
寝室を覗くとベッドに横たわっている峻がいた。

「峻?」

私の声かけに反応して顔を上げた。
信じられないと言う表情で私を見つめた。