「俺と契約しないか?」

「契約?」

どう言うことか全く飲み込めなかった。

「これから先のお前の面倒を俺が見る、入院費も俺が出す、その代わり俺の婚約者の振りしてくれ、チビ助も俺の子供として扱う、お前にとって損はないだろう」

私は彼の話を真剣に聞いていた、これからの私の生活を考えると、チビちゃんと生きて行くためにはとても良い条件かもしれないと思った。
でもこの契約は冴木さんにとってメリットはあるのだろうかと不思議に思った。
それにさっきからお前、お前と私の呼び方にカチンときた。

「あのう、私お前って名前じゃ無いんですけど」

「名前なんて言うんだ」

「雨宮 雫です」

「へ〜、じゃあ雫な」

いきなり呼び捨て?

「俺と契約するだろう?雫」

不覚にもドキッと鼓動が早くなった。
彼は私の顔を覗き込んで囁いた。

「顔真っ赤だぞ、雫、可愛いな」

可愛い?何言っちゃってるかな、私、からかわれてるよ、絶対に・・・

「からかわないでください」

「からかってねえよ、本気で可愛いと思ってる、じゃなきゃあ、婚約者の振り頼まねえよ」

彼は真剣な眼差しで私を見つめた。

「雫、今からお前は俺の婚約者だ」