俺はマンションに戻って愕然とした。
荷物が整頓されており、メモが残されていた。

『峻、お世話になりました、迷惑ばかりかけて、私は契約違反でしたね、唯香さんとお子さんとお幸せに、チビちゃんを自分の跡取りにって言ってくれて嬉しかったです』

雫、どうして俺の事を信じてくれないんだ。
唯香とは関係ない、それに俺は自分の子供はこの世に残せないんだ、だから雫を選んだ、いや、今はそんな事はどうでもいい、雫がいいんだ、雫を愛してるのに、雫の心の中には俺はいないのか？

俺は雫に電話をかけた、スマホは電源が入っていないとのメッセージが流れた。

あの身体だからそう遠くへはいけないはずだ。
コンシェルジュの千賀のところへ向かった。

「雫が何処へ行ったか分からないか」

コンシェルジュの千賀は俺のいつもに無い様子に慌てて答えてくれた。

「雫様は夕方、買い物にお出かけになりました」

「誰かと一緒だったか」

「はい、黒の高級車が雫様の傍らに停まり、車から降りて来たのは、藤ヶ谷不動産社長藤ヶ谷琉様でした」

「藤ケ谷不動産？」

チビ助の父親か？迎えに来たのか？雫は別れたと言っていたが違うのか？

「一緒に車に乗って行ったのか」

「電話がかかってきたので、そこまでは確認出来ておりません、申し訳ありません」

「いや、大丈夫だ」

俺は藤ケ谷不動産社長藤ケ谷琉に会いに行くことにした。
雫、無事でいてくれ