私は琉のマンションへ連れて行かれた。

「私、帰る」

「何処へ帰るの、冴木社長のところ?」

峻のところへは帰れない。

肩を震わせた私を琉は抱き寄せた。

「雫、冴木社長は女性遍歴が多い、今だってモデルの唯香と熱愛中じゃないか、そんな奴に着いて行っても、雫が泣くのは目に見えてる」

私は黙ったまま琉の話を聞いていた。

「それに自分の子供でもないのに、自分のこどもとして発表するなんて信じられない、何か企んでいるとしか思えないよ」

だって私は契約の婚約者だから・・・

「冴木のところへ戻らないでくれ、ここにいてくれ、僕はあれからずっと雫を捜していたんだ」

「私を捜してたの?」

琉は優しく微笑んで頷いた。

「疲れると子供によくないから、もう休んだ方がいい」

私は促されて仕方なく、琉のマンションに泊めてもらうことにした。

「この部屋はゲストルームだから、この部屋を使って」

「琉、ありがとう」

ベッドに入って目を閉じると、峻の事が気になった。
私を心配してるだろうか?それとも唯香さんとこれからのことを話しているのだろうか?

唯香さんが峻の子供を妊娠しているのなら、もう契約は解除しなくちゃいけないよね。
私は峻に愛されてる訳でもないし、峻の子供を妊娠してる訳でもないから・・・・