「謝らなければいけないのは俺の方だ、自分の気持ちを優先して、雫の気持ちを考えられなかった、契約は続ける」

彼の言葉で気持ちが少し落ち着いた。

「妊娠中は性欲我慢するって聞いたから、雫とキスすると、理性を保つ自信がなくて、ベッドでも敢えて背中向けてた、自分でベッドに一緒に寝る選択肢与えたくせに、情けねえよな」

嫌われてたんじゃないんだ、我慢してたなんて、涙が溢れて止まらなかった。

「雫?大丈夫か」

「私は泣き虫なんです、冴木さんにどんどん惹かれて、急に抱きしめられたり、キスされて戸惑ってたんですけど、ずっとこのまま冴木さんの側に居たいって思うようになって、でもその時のおでこにキスと、ベッドで背中向けられて、嫌われたって思いました」

彼は私の手を握ってくれて、手の甲にキスしてくれた。
良かったあ〜このままずっと一緒に居られるといいな。

「雫、退院したら入籍して結婚指輪買いに行こうな」

「ほんとですか?嬉しい」

彼はニッコリ微笑んで私の手をギュッと握ってくれた。
この時、幸せはずっと続くと思っていた。
しかし、黒い闇がすぐそこまで近づいている事に気づく事は出来なかった。