「花守さん、やばっ!」
瑠璃の声にかき消された。
旭の声が小さすぎたのもあるが、興奮冷めやらぬ瑠璃の声は教室によく響いた。
それを合図に、クラスメイトたちも息を吹き返した。
「やべえ!すげえよ!」
「百瀬さん相手によく言えたね!」
「スカッとしたー!」
旭は知らないが、クラスメイトたちは旭たちが別れた理由を密かに知っていた。
2人のやり取りを見かけた者や、渉と旭の話を偶然耳にしてしまった者たちから広まっていたのである。
きょとんとしている雛菊に、横から瑠璃が身を乗り出して話しかけた。
「花守さんありがとう、旭のことを助けてくれて」
「ああ、いえ……」
「私、羽柴瑠璃。3組なの。渉たちとは同じ中学だったんだ。宜しく」
「ああ、宜しくお願い致します」
片方の耳に髪を掛け、雛菊がお辞儀した。堅苦しい挨拶だったが、瑠璃は気にも止めない。
「雛ちゃんって呼んでもいい?」
「はい」
「私のことは瑠璃で」
「瑠璃さん」
「ちゃんで良いよ」
「承知致しました」
伸ばした手を降ろすことができないまま、おろおろする旭を渉が笑う。
「カノジョ、相当やるね」
瑠璃の声にかき消された。
旭の声が小さすぎたのもあるが、興奮冷めやらぬ瑠璃の声は教室によく響いた。
それを合図に、クラスメイトたちも息を吹き返した。
「やべえ!すげえよ!」
「百瀬さん相手によく言えたね!」
「スカッとしたー!」
旭は知らないが、クラスメイトたちは旭たちが別れた理由を密かに知っていた。
2人のやり取りを見かけた者や、渉と旭の話を偶然耳にしてしまった者たちから広まっていたのである。
きょとんとしている雛菊に、横から瑠璃が身を乗り出して話しかけた。
「花守さんありがとう、旭のことを助けてくれて」
「ああ、いえ……」
「私、羽柴瑠璃。3組なの。渉たちとは同じ中学だったんだ。宜しく」
「ああ、宜しくお願い致します」
片方の耳に髪を掛け、雛菊がお辞儀した。堅苦しい挨拶だったが、瑠璃は気にも止めない。
「雛ちゃんって呼んでもいい?」
「はい」
「私のことは瑠璃で」
「瑠璃さん」
「ちゃんで良いよ」
「承知致しました」
伸ばした手を降ろすことができないまま、おろおろする旭を渉が笑う。
「カノジョ、相当やるね」