その中心で倒れる旭を見て、少女はしばし立ち尽くした。そして汚れるのも厭わず、血の海へと足を踏み入れた。
痛みもなにも感じられない旭は、寒くもないのに震えが止まらなかった。
「ごめんね、間に合わなくて」
少女は優しく旭の頭を撫でる。
「看取るくらいのことはしてあげるから」
その手の感触だけ、旭は鮮明に感じとれた。
優しい手だ。
だんだんと眠くなる。
遠くで懐かしい歌が聞こえた。
ぼやけていく視界。
きっとこれで……。
これで終わりだと安心した旭の瞳が、少女の後ろで蠢く黒いなにかを映した。
少女は振り向く間もなく、ことりと倒れた。
背中に深々と斧が刺さっている。
「ざまあみやがれ」
男は両手を空に掲げ、大笑いした。
「やったぞ!花守を殺した!」
やったやったと子供のように無邪気に繰り返す。
少女は苦痛に顔を歪めながら、なんとか目を開けた。
赤い瞳と旭の目がかち合う。
旭は少女の指に、己の指を絡めて繋いだ。
この時の旭の行動に、旭の意思はほとんど反映されていない。
何せ旭は脳ーー生命活動を行う上で、大事な器官ーーを破壊され、目の前のものが目であり、手であることすら認識できない状態だったのだ。
痛みもなにも感じられない旭は、寒くもないのに震えが止まらなかった。
「ごめんね、間に合わなくて」
少女は優しく旭の頭を撫でる。
「看取るくらいのことはしてあげるから」
その手の感触だけ、旭は鮮明に感じとれた。
優しい手だ。
だんだんと眠くなる。
遠くで懐かしい歌が聞こえた。
ぼやけていく視界。
きっとこれで……。
これで終わりだと安心した旭の瞳が、少女の後ろで蠢く黒いなにかを映した。
少女は振り向く間もなく、ことりと倒れた。
背中に深々と斧が刺さっている。
「ざまあみやがれ」
男は両手を空に掲げ、大笑いした。
「やったぞ!花守を殺した!」
やったやったと子供のように無邪気に繰り返す。
少女は苦痛に顔を歪めながら、なんとか目を開けた。
赤い瞳と旭の目がかち合う。
旭は少女の指に、己の指を絡めて繋いだ。
この時の旭の行動に、旭の意思はほとんど反映されていない。
何せ旭は脳ーー生命活動を行う上で、大事な器官ーーを破壊され、目の前のものが目であり、手であることすら認識できない状態だったのだ。