「協会法第24条により、あなたを処分します」
「やってみろや!」
男は斧についた血を軽く払い、跳躍した。
体を大きく反らし、斧を頭上へ振り上げる。そして少女の頭めがけ、勢いよく振り下ろした。
少女は動かない。
赤い瞳で男を見上げたままーー。
怯えているのだ。
男の背中をぞくぞくと愉悦が駆け抜ける。
刃が風を切り裂いた。
斧が落ちた。少女の頭ではなく、アスファルトへ。
少女は忽然と消えていた。確かにあと数センチ、いや、数ミリで頭を割れるところまではいたはずなのに。
混乱する男の後ろで溜め息が聞こえた。
「ああ、やだやだ」
一糸乱れぬその姿。
一体いつ背後に回ったのだろう。
「お前、どうやって」
「黙りなさい。下級ごときが私に触れられると思って?」
銃口が男の額へ向いた。
「さようなら、哀れな同胞」
音もなく弾丸が飛ぶ。
男は驚いた顔のまま後頭部から血を吹き出し、そのまま倒れた。
あっという間の出来事であった。
再び静寂が戻る。
少女は銃を腰のホルダーに戻し、軽くスカートを払った。
むせ返るような血の香りが路地を満たしている。