「うわっ!」

 突然の声に驚きながら振り向くと、知っている人がいた。

 小学校二年生までこの街で過ごし、転校していった同級生。

「あっちゃん?」
「えっ? 誰?」

 彼の名前は(あらた)。幼稚園から一緒で、その時からあっちゃんって呼んでいた。

 転校してから、今日まで一切連絡をとったりしなかったし、姿を見る事はなかった。でも小さな頃の面影があってすぐに分かった。

「あっちゃん、柚葉だよ! 小学校まで一緒だった」
「ん? ああ……」
「久しぶりだね」
「……うん」

 貼り紙の事を彼に質問をしてみた。

「これ、あっちゃんも関わっているの?」

「うん。俺、東京で劇団に入ってたんだけど、こっちでも何か芝居やりたいなぁって思って。カメラと映画の事が好きな知り合いに声を掛けて、映画撮ることになったの」

「映画のヒロイン、興味はあるけれど、私、一回だけエキストラしたぐらいしか経験ないよ?」

「大丈夫! とりあえず明日のお昼一時に、そこの公園に来てみて! 会議あるから」

 公園で会議か。とりあえず興味はあったし、あっちゃんが関わっているから行ってみることにした。

 あっちゃん、小学生の時、一緒に遊んだ事あるけれど、私の事、覚えていない雰囲気だったな。でも映画の話している時はそうでもなかったような……。