五月のゴールデンウィーク。その月にしては気温が高くて汗ばむ程の暑さだった。

 何か冷たい物を買おうとして、家から歩いて五分くらいの距離にある、去年まで通っていた中学校のすぐ隣にある商店にふらっと入った。

 そのお店の中の通路はひとりがやっと通れるくらいに物が並べられている。私は隅にあるアイスコーナーに向かった。冷凍ショーケースの中にあるバニラ味のカップをひとつ手に取り、見上げるとひとつの貼り紙が目に入った。

“自主映画に出てみませんか? ヒロイン募集中! 興味があったら店員まで”

 太字のマジックペンの手書きで、正直綺麗とは言えない文字でそう書かれていた。

 自主映画かぁ……。でもこの自主映画、募集している年齢も、なんの役なのかも書いてなくてとてもシンプルすぎる募集。大丈夫なやつなのかな? 怪しい。

「参加してみませんか?」

 じっくりその貼り紙を見ていたら、突然後ろから声がした。