「はい、カットー! さいっこう!!」
背後から今まで聞いたことの無いテンションで叫ぶ希くんの声が聞こえた。振り向くとめちゃくちゃ笑顔でこっちを見ている。
「こんな良いものになるなんて……」
希くんの横で律くんが泣いていた。
私はただ呆然としている。
「えっ? 何これ? このシーン、映画のシーンじゃないよね? 台本になかったよね?」
「柚葉、ごめんなさい! なんか色々嘘でした! とりあえず涙、これで拭いて?」
あっちゃんがそういいながら、ハンカチを差し出した。
「はっ?」
今見ている景色は何? ずっと流れ出て止まらなかった涙は一瞬で心の奥底に帰っていった。彼のハンカチ、一応受け取ったけれども、そのハンカチで拭く涙はもうどこにもない。
少しずつ積み上げられた私の感情は、一気にどこかへ吹き飛ばされた。
「とりあえず、OKシーン繋いだ粗編集は二、三日で出来ると思うけれど、出来たら動画ふたりに送る?」
「見たいな!」
あっちゃんが何事も無かったように弾む声で答えている。
「じゃあ送るね! 帰ったらすぐ編集したいから、もっと早くに送れるかも!」
希くんもずっと笑顔ではしゃいでいた。
「感動を、ありがとね!」
律くんからお礼を言われた。
なんか、騙されていたけれど、そのシーンが一番観るの楽しみだったりするから、良いのかな? いや、良くない? とりあえず今は気持ちを切り替えて、あとで、あっちゃんと話し合おう。
「完成したら、みんなで見る? 希達の家、プロジェクターあったよね?」
あっちゃんが言った。
「見よう! 家に来て、試写会やろ!」
「えっ、プロジェクターって、映画とか大きくして見れるやつ?」
「そうだよ! たまに俺、希達の家で映画みるんだけど、いいよー!」
「楽しみ!」
自分が出ている映画が大きい画面で見られるなんて、想像しただけで胸が高まった。どんな感じになるのかな?
「次の作品、僕が書いてみたいな!」
律くんが言った。
次の作品……。みんなとまだ繋がり続ける事が出来るんだ! そしてまた演技が続けられる。
ふと、あっちゃんを見た。
もう、ひとりじゃないね!
心の中で呟くとタイミング良くあっちゃんもこっちを見て、微笑んだ。
背後から今まで聞いたことの無いテンションで叫ぶ希くんの声が聞こえた。振り向くとめちゃくちゃ笑顔でこっちを見ている。
「こんな良いものになるなんて……」
希くんの横で律くんが泣いていた。
私はただ呆然としている。
「えっ? 何これ? このシーン、映画のシーンじゃないよね? 台本になかったよね?」
「柚葉、ごめんなさい! なんか色々嘘でした! とりあえず涙、これで拭いて?」
あっちゃんがそういいながら、ハンカチを差し出した。
「はっ?」
今見ている景色は何? ずっと流れ出て止まらなかった涙は一瞬で心の奥底に帰っていった。彼のハンカチ、一応受け取ったけれども、そのハンカチで拭く涙はもうどこにもない。
少しずつ積み上げられた私の感情は、一気にどこかへ吹き飛ばされた。
「とりあえず、OKシーン繋いだ粗編集は二、三日で出来ると思うけれど、出来たら動画ふたりに送る?」
「見たいな!」
あっちゃんが何事も無かったように弾む声で答えている。
「じゃあ送るね! 帰ったらすぐ編集したいから、もっと早くに送れるかも!」
希くんもずっと笑顔ではしゃいでいた。
「感動を、ありがとね!」
律くんからお礼を言われた。
なんか、騙されていたけれど、そのシーンが一番観るの楽しみだったりするから、良いのかな? いや、良くない? とりあえず今は気持ちを切り替えて、あとで、あっちゃんと話し合おう。
「完成したら、みんなで見る? 希達の家、プロジェクターあったよね?」
あっちゃんが言った。
「見よう! 家に来て、試写会やろ!」
「えっ、プロジェクターって、映画とか大きくして見れるやつ?」
「そうだよ! たまに俺、希達の家で映画みるんだけど、いいよー!」
「楽しみ!」
自分が出ている映画が大きい画面で見られるなんて、想像しただけで胸が高まった。どんな感じになるのかな?
「次の作品、僕が書いてみたいな!」
律くんが言った。
次の作品……。みんなとまだ繋がり続ける事が出来るんだ! そしてまた演技が続けられる。
ふと、あっちゃんを見た。
もう、ひとりじゃないね!
心の中で呟くとタイミング良くあっちゃんもこっちを見て、微笑んだ。