「あとね、北海道にもあちこち劇団あるし、ここからだと頻繁には行けないけれど、札幌で結構オーディションが行われているらしくて、ローカルが多いけれど、全国の映画やCMもあるみたいだから、そんな演技の場もある事も踏まえて、今後考えてみても良いかも。今の時代だとネットを使って何かをしてみたりも……」
「えっ? そんなに! 色々あるんだね! 知らなかった。詳しいね!」
「ただ興味があるだけだよ。まずは実力つけないとね! ところで女優になりたいのは親とか知ってるの?」
「知らない。なんか言ったら無理だって馬鹿にされそうだし。あっちゃんの親は?」
「知ってるよ! いつも俺がひとりでいるのを気にして、劇団に連れて行ってくれたの父さんだし、結構、今はどんな役をしているのかとか、気にかけてくれてる」
「そうなんだ。羨ましいな」
やりたい事を家族に理解されていて羨ましいな……。私にとって“ 女優になりたい夢 ”というものはまだ、蜃気楼のようだし。親に言うと否定されそうだし。なんだか「これが夢です」って伝えるのが、ただ怖い。この映画の事だって、何も言っていない。唯一言えたのは、冬のエキストラに参加した時。未成年は親の承諾が必要だったから。「友達に付き添ってって言われたんだけどね……」って、私ひとりで行くのに、やりたいのは私なのに、母に嘘をついてしまった。
「えっ? そんなに! 色々あるんだね! 知らなかった。詳しいね!」
「ただ興味があるだけだよ。まずは実力つけないとね! ところで女優になりたいのは親とか知ってるの?」
「知らない。なんか言ったら無理だって馬鹿にされそうだし。あっちゃんの親は?」
「知ってるよ! いつも俺がひとりでいるのを気にして、劇団に連れて行ってくれたの父さんだし、結構、今はどんな役をしているのかとか、気にかけてくれてる」
「そうなんだ。羨ましいな」
やりたい事を家族に理解されていて羨ましいな……。私にとって“ 女優になりたい夢 ”というものはまだ、蜃気楼のようだし。親に言うと否定されそうだし。なんだか「これが夢です」って伝えるのが、ただ怖い。この映画の事だって、何も言っていない。唯一言えたのは、冬のエキストラに参加した時。未成年は親の承諾が必要だったから。「友達に付き添ってって言われたんだけどね……」って、私ひとりで行くのに、やりたいのは私なのに、母に嘘をついてしまった。