「どうだった?」

「すごく分かりやすくて勉強になりました! ありがとう!」

「本当? 良かった!」 

「じゃあ、今日も書くね、ノート貸して! さっき思いついた事、忘れないうちに書いちゃう。台本読んでて!」

 言われた通り、台本を読んだ。家では声を出して読んでいたけれど、演技の上手いあっちゃんの前で声を出して読むのが、なんとなく恥ずかしかったから、心の中で。そんな私の気持ちに気がついたのか分からないけれど、彼は「声を出して読んでも大丈夫。俺、聞こえてないから」って言ってきた。

 私は控えめな声で読んだ。
 彼は集中してノートを書いていた。