家に帰ると、早速家のベットで転がりながら読んでみた。

 最初のページ

『役者という自分は完成する事がない。一生上を見て歩く。常に本物に触れる感じる観る。そしたら自分が常にちっぽけである存在だと気がつく。そして常に練習! 練習! 練習! 自分の役者に対する考えはこんな感じです(ピース)

 では次のページで演技のお話をするよ! 俺もまだまだ未熟で分からないことばかりで教えられる事なんて少ないしもしかしたら間違えている事も書いちゃったりしているかもしれないけれど読んでくれたら嬉しいです』


 次のページを開いた。

 『演技 まずは台詞のない演技。何かをしている(じっとしているも)→心の中の台詞が動くきっかけが起きる。それは外から感じるのものと内から感じるものがあるんだけど……』

 最後には

『このノートの文章や写真とか、ネットにあげないでね! 知らない人に引用されて、マウントとられる怖い未来しか見えないから(怯える顔文字の絵)』

とも書いてあり、クスッとした。

 細かくびっしりと文章が書かれてあり、時にはイラストも。とても分かりやすかった。次々に足したい事思いついたら書きたいから、とりあえず会う時に毎回持ってきて欲しいと言っていた。

 次にどんな事が書かれるのかな?って考えたらうきうきして、私の楽しみのひとつになった。

 ノートを読んでいると、憧れの女優さんが頭の中に思い浮かんできた。元々恵まれた才能であそこまで辿り着いたのかもしれないけれど、もしかしたら並々ならぬ努力をしたからあの位置まで行けたのかもしれない。

 そして、あっちゃんは予想外にとても熱い人だった。どっちかというと、小さい頃から冷静な人ってイメージだったから、きっと、私は彼の事を、表面上だけしか知らなかった。