二人で同時にそう漏らし、テーブルと床に散らばったカードを眺めた。
「あ。ああ。あああ」
涼が震えるようにタワーの亡骸を集め始めたので、私は必死に謝った。
「ごめんて。ごめんねって。わざとじゃないから」
涼は半ばふくれながら、別にいいよ、と言ってくれたが、結構落ち込んでいる様だった。
病室の扉が開いて先生が入ってきた。床に散らばったカードを見て呆れながら笑う。
「全く何してんだか。君は桔梗ちゃんの彼氏さんでしょ?だめだよ病み上がりの彼女にトランプタワーの完成任せちゃ」
「すんません」
涼はそう言いながらトランプを片付けた。
「その後の調子はどうかな」
私が先生の質問に答えている間、涼は病室の隅でおとなしくしていた。先生とのやり取りが終わると、先生はじゃあね、と言って病室を後にした。涼はまだ何か話したいようだったが、私は体力が残っていないのか、先生との会話だけですっかり疲れてしまった。それに気がついた涼は片手をあげると、今日はもう休んで、と言って病室を出ていった。
翌日、涼と一緒に誰かが入ってきた時は驚いた。色とりどりの花束を抱えた泉さんがいたのだ。中心には紫色のトルコ桔梗もあった。 彼女はそれを私に渡すと、にこりとして笑った。
「手術成功だね。おめでとう」
どうして彼女が知っているのか。私は思わず涼を見た。すると涼が目をそらしたので私は、信じられない、と首を振った。涼は慌てて謝ったが、手を振りながら言い訳もした。
「ごめんて。でも、きいちゃんと泉さん仲いいし!泉さんもうすうす気づいてたし…」
仲が、いい?涼の言葉に私は思わずぽかんとした。すると泉さんが涼をかばうように口を挟んだ。
「私がしつこく谷川君に聞いたの。だって、最近きいちゃんちっとも連絡くれないから…」
あ、思わず声が出た。桜さんとの一件もあり、とても誰かと話す気になれず、泉さんへのメッセージもずっと返していなかったのだ。
「それで谷川君なら何か知ってるかなって思って」
泉さんの言葉に、私はどう反応すればいいのかわからなかった。ただ、私が誰とも話したくないとふさぎ込んでいる間も、泉さんが私のことを思っていてくれたのだと知って、申し訳なさと感謝で胸がいっぱいだった。
「あ。ああ。あああ」
涼が震えるようにタワーの亡骸を集め始めたので、私は必死に謝った。
「ごめんて。ごめんねって。わざとじゃないから」
涼は半ばふくれながら、別にいいよ、と言ってくれたが、結構落ち込んでいる様だった。
病室の扉が開いて先生が入ってきた。床に散らばったカードを見て呆れながら笑う。
「全く何してんだか。君は桔梗ちゃんの彼氏さんでしょ?だめだよ病み上がりの彼女にトランプタワーの完成任せちゃ」
「すんません」
涼はそう言いながらトランプを片付けた。
「その後の調子はどうかな」
私が先生の質問に答えている間、涼は病室の隅でおとなしくしていた。先生とのやり取りが終わると、先生はじゃあね、と言って病室を後にした。涼はまだ何か話したいようだったが、私は体力が残っていないのか、先生との会話だけですっかり疲れてしまった。それに気がついた涼は片手をあげると、今日はもう休んで、と言って病室を出ていった。
翌日、涼と一緒に誰かが入ってきた時は驚いた。色とりどりの花束を抱えた泉さんがいたのだ。中心には紫色のトルコ桔梗もあった。 彼女はそれを私に渡すと、にこりとして笑った。
「手術成功だね。おめでとう」
どうして彼女が知っているのか。私は思わず涼を見た。すると涼が目をそらしたので私は、信じられない、と首を振った。涼は慌てて謝ったが、手を振りながら言い訳もした。
「ごめんて。でも、きいちゃんと泉さん仲いいし!泉さんもうすうす気づいてたし…」
仲が、いい?涼の言葉に私は思わずぽかんとした。すると泉さんが涼をかばうように口を挟んだ。
「私がしつこく谷川君に聞いたの。だって、最近きいちゃんちっとも連絡くれないから…」
あ、思わず声が出た。桜さんとの一件もあり、とても誰かと話す気になれず、泉さんへのメッセージもずっと返していなかったのだ。
「それで谷川君なら何か知ってるかなって思って」
泉さんの言葉に、私はどう反応すればいいのかわからなかった。ただ、私が誰とも話したくないとふさぎ込んでいる間も、泉さんが私のことを思っていてくれたのだと知って、申し訳なさと感謝で胸がいっぱいだった。
