ちゃっかり泉トモヤという生徒と入れ替わっていたことも指摘され、上野は、さーせん、と笑いながら小走りに自分の席に戻った。すれ違いざま、泉とグータッチをしながら。クラス全員が自分の席に着いたことを確認した林先生は、満足そうに頷くと口を開いた。
「はい。皆さんご存じの通り、四月の二十八日は遠足、いや、自然教室に行きます。班は全部で七班、今日は班決めと各班の係決めをしますからね。はい、じゃあ学級委員長、後はよろしく。時間も余ったらバスの座席決めもしようかね」
そう言うと林先生は教室の後ろに行き、パイプ椅子に腰かけた。それと入れ違いに学級委員の生徒が二名、教壇に上がった。学級委員は白田エリナと泉トモヤだ。上野が口笛をしながら二人をはやし立てた。まんざらでもなさそうな顔をしながら、泉はそれを面倒臭さそうに手で制した。
「はい、えっと、じゃあ、そういう訳なんで、班決めたいと思います」
少し頬を赤らめながらクラスを見渡した泉は、そのまま
「どうやって決める?」
とクラスに問いかけた。
「せんせー、これってひと班何人ですか?」
上野が振り向きながら大声で先生に尋ねた。眠りかけていた先生が慌てて顔を上げた。
「四十人クラスで七班だから、六人班が五つと五人班が二つだね」
「うす、あざーす。男女比とか決まってますか?」
「いや、絶対ってことはないけど、なるべく半々にして」
「了解っす。だって、泉」
「聞こえてるって」
泉はわざと苦笑いしながら黒板に一から七の数字を書いた。
「えっと、じゃあ、適当に組むとかでいい?だからえっと、男子女子別々に三人班五つと・・まあ、適当にうまいことまず男女別で決めて、あとからクジとかで一緒にするとか・・・でいいすかね?」
皆が頷いたのを見て、泉は安どの表情を見せた。
「じゃあ、今から十分時間とるんで、決めちゃってください。はい、スタート」
その声と同時に、ガタガタと椅子がひかれ、あちこちで会話が飛び交った。