「~~~~・・・。」
壇上でマイクを使って話すのは音楽の先生。体育館の中はとても寒いのに、制服着用ででひざ掛けも禁止だ。そのためほとんどの生徒が疲れ切った顔をしていた。卒業式が迫った3月上旬。今日は卒業式の予行練習が行われていた。かじかむ手に息を吹きかけながら、もうすぐ卒業を迎える3年生に目を向ける。
・・・卒業、か。大学進学なのか、就職なのか、それともそれ以外の道なのか。ほとんどの先輩がもう既に決めているのだろう。進路かあ。私は全然、決まる気がしない。
「旅行行こうよ!本格的に受験生になる前に!」
「お、いいねえ。」
1時間ほど寒さに耐え教室に戻ってきた私と千里は、教室で旅行会社のパンフレットを広げていた。
「美味しいもの食べれるところがいいよね。」
そう言って笑う千里に頷いて、曇っている窓の外を見つめる。
「・・・つき!奈月!!」
「・・・・・・ごめん、ぼーっとしてた。」
最近あんた気抜けすぎじゃない?そう言って千里は私の頭を笑って小突く。
「旅行って結構お金かかるよね。」
「ね、泊まりだとかかっちゃうよね。あー、お母さんにおねだりしなきゃなあ。」
「そう、だね。」
千里の言葉に何故か一瞬思考が止まる。そうか、私もお母さんにお小遣いを貰わなきゃ。あれ、でも私、お小遣いなんて貰ったことあったっけ、ていうか、あれ。
「奈月のパパママに会ってみたいなあ。写真とかないの?」
ふああ、と欠伸をしながら千里がそう私に問う。写真ね、写真。ちょっとまってね。
「ねね、奈月はどっち似なの?」
私の返事を待つ前に千里が質問を重ねるから呆れて笑ってしまった。笑ったつもりだったのに。私の頬は引き攣っていた。
胸のざわざわが大きくなって、得体の知れない気持ち悪さが身体中を蝕んでいる。胸が音を立ててなりはじめる。息が、苦しい。
気持ち悪い、きもちわるい。
呼吸が難しくなってきて、徐々に意識が遠のいていくのが分かる。
「・・・奈月!?」
私の異変に気付いたのだろう。視界の隅に焦った千里の顔が映る。
「奈月!!大丈夫!?」
千里の叫び声に周りから人が集まってくる、誰かが先生を呼ぶ声も聞こえる、しかし私の意識はそれ以上持たなかった。
・・・落ちていく意識の中で浮かんで来たのは、暗い部屋に座り込む私だった。まだ幼い私はが膝を抱えて座り込んでいる。辺りはもう暗くなり始めているのに、部屋の隅で電気も付けずに、小さな手をきつく握りしめていた。
壇上でマイクを使って話すのは音楽の先生。体育館の中はとても寒いのに、制服着用ででひざ掛けも禁止だ。そのためほとんどの生徒が疲れ切った顔をしていた。卒業式が迫った3月上旬。今日は卒業式の予行練習が行われていた。かじかむ手に息を吹きかけながら、もうすぐ卒業を迎える3年生に目を向ける。
・・・卒業、か。大学進学なのか、就職なのか、それともそれ以外の道なのか。ほとんどの先輩がもう既に決めているのだろう。進路かあ。私は全然、決まる気がしない。
「旅行行こうよ!本格的に受験生になる前に!」
「お、いいねえ。」
1時間ほど寒さに耐え教室に戻ってきた私と千里は、教室で旅行会社のパンフレットを広げていた。
「美味しいもの食べれるところがいいよね。」
そう言って笑う千里に頷いて、曇っている窓の外を見つめる。
「・・・つき!奈月!!」
「・・・・・・ごめん、ぼーっとしてた。」
最近あんた気抜けすぎじゃない?そう言って千里は私の頭を笑って小突く。
「旅行って結構お金かかるよね。」
「ね、泊まりだとかかっちゃうよね。あー、お母さんにおねだりしなきゃなあ。」
「そう、だね。」
千里の言葉に何故か一瞬思考が止まる。そうか、私もお母さんにお小遣いを貰わなきゃ。あれ、でも私、お小遣いなんて貰ったことあったっけ、ていうか、あれ。
「奈月のパパママに会ってみたいなあ。写真とかないの?」
ふああ、と欠伸をしながら千里がそう私に問う。写真ね、写真。ちょっとまってね。
「ねね、奈月はどっち似なの?」
私の返事を待つ前に千里が質問を重ねるから呆れて笑ってしまった。笑ったつもりだったのに。私の頬は引き攣っていた。
胸のざわざわが大きくなって、得体の知れない気持ち悪さが身体中を蝕んでいる。胸が音を立ててなりはじめる。息が、苦しい。
気持ち悪い、きもちわるい。
呼吸が難しくなってきて、徐々に意識が遠のいていくのが分かる。
「・・・奈月!?」
私の異変に気付いたのだろう。視界の隅に焦った千里の顔が映る。
「奈月!!大丈夫!?」
千里の叫び声に周りから人が集まってくる、誰かが先生を呼ぶ声も聞こえる、しかし私の意識はそれ以上持たなかった。
・・・落ちていく意識の中で浮かんで来たのは、暗い部屋に座り込む私だった。まだ幼い私はが膝を抱えて座り込んでいる。辺りはもう暗くなり始めているのに、部屋の隅で電気も付けずに、小さな手をきつく握りしめていた。

