「・・・なに?」
「・・・いや。やっぱ綺麗だなって。」
「ね!来てよかった!」
私の返事にだな、と笑った要は不意に私の名前を呼ぶ。返事をして振り返れば、要は私に何かを手渡す。可愛いクリスマスカラーのラッピング袋に一瞬思考が停止してしまう。
「これ・・・。」
「クリスマスプレゼント。」
要はそういって照れたように笑った。
「開けてみて。」
促されるままに中を見れば、わあ、と思わず声が出てしまった。そこに入っていたのは青色のとんぼ玉のキーホルダーで、透き通ったまあるい玉の中には気泡が揺れていた。あまりにも綺麗で、こんなの、すごい、
「・・・海を閉じ込めたみたい。」
私の声が、ひんやりとした世界の中に溶ける。
どのくらいじーっと見つめていたのか。ふと我に返って要の方を見れば、彼は微笑んで私を見ていた。そのなにかとても愛しいものを見ているような瞳に、なぜか目を逸らしてしまう。要も取り繕ったように咳払いをひとつして、ほら、と私の肩を叩いた。
「奈月すぐ物無くすじゃん。それの防止。」
「・・・否定できない。」
「でしょ。名人級だもんね。」
「嫌だよそんな不名誉な名人。」
カバンから家の鍵を取りだして、もらったばっかりのキーホルダーを結びつける。要の目の前でしゃらしゃらと揺らしてみれば、彼は照れたように笑った。
「・・・私、ほんとに何も用意してない。」
「知ってる、奈月だもん。」
「・・・ありがとう。」
私の言葉に彼は笑って頷く。プレゼントを貰えるなんて予想もしてなかった。こんなに綺麗なもの、嬉しい。
とても、とても嬉しい、はずなのに。
嬉しさと同じくらい込み上げてくるのは、胸が張り裂けそうなほどの切なさだ。なんだろうこれは。
「・・・奈月?」
俯いてしまった私の顔を要が覗き込む。込み上げてくる気持ちが整理できなくて、突然、涙が溢れてきてしまった。嬉しさと切なさが胸の中でぐちゃぐちゃに混ざって、ただただ涙がこぼれ落ちる。何故だろう、とても苦しい。
「・・・泣くなよ。」
頭上から降り注ぐのは要の優しい声。そして私の頭をぽんぽん、と叩く。なんで自分が泣いているのかさえ分からない。なんでこんな気持ちになっているのかわからないのに。要の声に戸惑いの色はなかった。まるで、私が何故泣いているのか全て分かっているようで。
その後、私の涙が止まるまで、要はずっと待っていてくれた。泣き終えた私の顔を見た彼は、変な顔、といつものように私をからかう。
「・・・帰ろ。」
「うん。あのさ、要。」
「ん?」
「来年のクリスマスプレゼント、楽しみにしててね。」
「え、今から?」
「だってもらったからって今から買うのもなんか変だし。来年に持ち越しかなって。」
なにそれ、と要が笑う。自分の目が真っ赤でひどい顔をしていることは分かっているけど、私も笑う。
「ねえ、何が欲しい?」
「いやあまりにも早すぎて決められないって。」
「だよねえ。」
さっきまで泣いていたはずなのに今は要へのクリスマスプレゼントのことで頭がいっぱいだ。そんな私に要も呆れたように笑っていて、あ、そうだ、いいこと思いついた。
「私も要のために海を閉じ込めてあげよう!」
「なにそれ?」
「・・・詳しくはこれから考える。」
「正直でよろしい。」
だって、嬉しかったんだもん。もう一度キーホルダーをポケットから出して要の前で揺らして見せた。そのうちふざけて要の顔に当たりそうなほど近くまで寄せれば、やめろよ、とケラケラと笑う。私も笑ってしまって、白い息が揺れた。
「約束だから、楽しみにしててね。」
そう言って小指を差し出せば、要は少し驚いた顔をして、ゆっくりと小指を差し出す。指切りげんまんをして、そして、自然とそのまま手を繋いだ。右手に要の体温と、ポケットには小さな温もりを感じて、とても安心して、でも。
胸の切なさはまだ消えてくれなかった。
「・・・いや。やっぱ綺麗だなって。」
「ね!来てよかった!」
私の返事にだな、と笑った要は不意に私の名前を呼ぶ。返事をして振り返れば、要は私に何かを手渡す。可愛いクリスマスカラーのラッピング袋に一瞬思考が停止してしまう。
「これ・・・。」
「クリスマスプレゼント。」
要はそういって照れたように笑った。
「開けてみて。」
促されるままに中を見れば、わあ、と思わず声が出てしまった。そこに入っていたのは青色のとんぼ玉のキーホルダーで、透き通ったまあるい玉の中には気泡が揺れていた。あまりにも綺麗で、こんなの、すごい、
「・・・海を閉じ込めたみたい。」
私の声が、ひんやりとした世界の中に溶ける。
どのくらいじーっと見つめていたのか。ふと我に返って要の方を見れば、彼は微笑んで私を見ていた。そのなにかとても愛しいものを見ているような瞳に、なぜか目を逸らしてしまう。要も取り繕ったように咳払いをひとつして、ほら、と私の肩を叩いた。
「奈月すぐ物無くすじゃん。それの防止。」
「・・・否定できない。」
「でしょ。名人級だもんね。」
「嫌だよそんな不名誉な名人。」
カバンから家の鍵を取りだして、もらったばっかりのキーホルダーを結びつける。要の目の前でしゃらしゃらと揺らしてみれば、彼は照れたように笑った。
「・・・私、ほんとに何も用意してない。」
「知ってる、奈月だもん。」
「・・・ありがとう。」
私の言葉に彼は笑って頷く。プレゼントを貰えるなんて予想もしてなかった。こんなに綺麗なもの、嬉しい。
とても、とても嬉しい、はずなのに。
嬉しさと同じくらい込み上げてくるのは、胸が張り裂けそうなほどの切なさだ。なんだろうこれは。
「・・・奈月?」
俯いてしまった私の顔を要が覗き込む。込み上げてくる気持ちが整理できなくて、突然、涙が溢れてきてしまった。嬉しさと切なさが胸の中でぐちゃぐちゃに混ざって、ただただ涙がこぼれ落ちる。何故だろう、とても苦しい。
「・・・泣くなよ。」
頭上から降り注ぐのは要の優しい声。そして私の頭をぽんぽん、と叩く。なんで自分が泣いているのかさえ分からない。なんでこんな気持ちになっているのかわからないのに。要の声に戸惑いの色はなかった。まるで、私が何故泣いているのか全て分かっているようで。
その後、私の涙が止まるまで、要はずっと待っていてくれた。泣き終えた私の顔を見た彼は、変な顔、といつものように私をからかう。
「・・・帰ろ。」
「うん。あのさ、要。」
「ん?」
「来年のクリスマスプレゼント、楽しみにしててね。」
「え、今から?」
「だってもらったからって今から買うのもなんか変だし。来年に持ち越しかなって。」
なにそれ、と要が笑う。自分の目が真っ赤でひどい顔をしていることは分かっているけど、私も笑う。
「ねえ、何が欲しい?」
「いやあまりにも早すぎて決められないって。」
「だよねえ。」
さっきまで泣いていたはずなのに今は要へのクリスマスプレゼントのことで頭がいっぱいだ。そんな私に要も呆れたように笑っていて、あ、そうだ、いいこと思いついた。
「私も要のために海を閉じ込めてあげよう!」
「なにそれ?」
「・・・詳しくはこれから考える。」
「正直でよろしい。」
だって、嬉しかったんだもん。もう一度キーホルダーをポケットから出して要の前で揺らして見せた。そのうちふざけて要の顔に当たりそうなほど近くまで寄せれば、やめろよ、とケラケラと笑う。私も笑ってしまって、白い息が揺れた。
「約束だから、楽しみにしててね。」
そう言って小指を差し出せば、要は少し驚いた顔をして、ゆっくりと小指を差し出す。指切りげんまんをして、そして、自然とそのまま手を繋いだ。右手に要の体温と、ポケットには小さな温もりを感じて、とても安心して、でも。
胸の切なさはまだ消えてくれなかった。

