「そっくり、そのセリフお前に返すよ、お前こそ、美希ちゃんが会社に行った時誰と居たんだ、先客がいたと帰ろうとしていたんだぞ、美希ちゃんより大切な先客って誰だ」

「美希は俺の会社にきたのか」

「アポなしで来たら先客がいたから帰るところだと言っていた、美希ちゃんを泣かせるなら俺が美希ちゃんをもらう」

「美希は俺の妻だ、誰にも渡さない」

望月は俺の胸ぐらを掴み、言葉を荒げた。

「俺がなんでこんなにも怒ってるかわかるか、美希ちゃんは泣いていた、お前、女と一緒だっただろう」

俺は何も言い返せなかった。

「その女とはいつからだ」

「違う、誤解だ、鏑木建設会社と古くから付き合いのある今村不動産のご令嬢だ、妹みたいな存在で、恋人に振られたから食事に連れてってと頼まれて」

「お前の悪い癖だな、女性に頼まれると、断れない」

「反省するよ、済まなかった」

望月は大きなため息をついた。