「こんばんは、鏑木美希さんですよね、俺は蓮の大学時代からの悪友で望月楓といいます」

私は蓮さんからアルバムを見せて貰った事があり、望月さんの事は知っていた。

「はじめまして、美希です、蓮さんからお話は聞いています、大親友だと」

「そうでしたか、それは光栄だな、大親友では無いんですけど、大悪友ってとこかな」

私はちょっと笑みを浮かべた。

でもその笑顔の裏に悲しい表情が隠れていた事を望月さんには見抜かれていた。

「体調は大丈夫ですか」

「はい、おかげさまで、だいぶつわりも収まって来ました」

「今日はどちらへ行かれるのですか、蓮の会社の方から来たんですよね、蓮と一緒ではないんですか」

「あ、あのう、先客がいたみたいで、私アポなしで来ちゃったんで、これから帰るところです」

「妊婦の奥様より大切な人は、アフター5ではいないですよね」

望月さんはスマホで蓮さんに連絡を入れた。

「望月、どうした」

「蓮、今誰といるんだ、美希ちゃんよりも大切な人って誰だ」