「お答え出来ません」

『美希に変わってくれ』

「はい、お疲れ様です」

『大丈夫か』

「大丈夫です、ご心配には及びません」

『今日は泊りだ』

「はい、わかりました」

彼からの電話は切れた。

「大丈夫ですよ、もう戻ってください」

私は東條さんに告げた。

その時ドアが開き、彼が入って来た。

「美希」

「蓮さん、どうしたんですか」

「東條、説明しろ」

「自分がここに着いた時、奥様は泣いて取り乱していました、自分はそんな奥様をそのままの状態には出来ず抱きしめました」

「美希、何があった、俺に言ってくれ、何故俺じゃなく東條に抱きしめて貰ったんだ」

「社長、それは違います」

「お前に聞いてない、美希に聞いてるんだ」

「寂しくて、悲しくて、なんかわからなくなって東條さんを蓮さんと間違えたんです」

「何故寂しく、悲しくなったんだ、俺が忙しいからか」

「それもあります、でもそれだけじゃなく、週刊誌のモデルの方に嫉妬しました、すごく嫌だったんです」