落ちた。

ぼろ負け状態だった。

翌年再度挑戦し、見事合格した。

「蓮、おめでとう、やったな」

「サンキュー、望月」

「でも、これからだな、社長目指すんだろ」

「ああ、少し総務部で勉強だ」

「やっと彼女に会えるな」

「ほんとだよ、もう我慢の限界だ」

だが、俺はやっとスタートライン立ったところで、道のりはまだまだ長い。

そんなある日、俺は休憩室でコーヒーを買おうと自販機の前に立ち、財布から小銭を出した。

「十円足りねえ、マジかよ」

そこに「これ使って下さい」と百円玉を差し出した女性がいた。

俺はその女性の方を振り向くと藤城美希だった。

俺は目が点になり、固まった。

彼女は恥ずかしそうに俯いた。

なんて可愛いんだ。

久しぶりの対面といきなりの可愛さに俺は彼女の手を引き寄せてしまった。

やばい、我に帰りすぐに彼女から離れた。

「すみません、俺、あの……」

彼女は「大丈夫ですよ」と百円玉を手渡してくれた。

それから事あるごとに、話す機会を狙っていた。