「美希、前に俺が言ったこと覚えてるか、俺だけ見てろ、俺だけ信じろ、そして俺に甘えろと」

「覚えています、でも私、蓮さんに相応しくないんです」

「美希が俺に相応しいかは俺が決める」

「蓮さん」

「美希は俺が認めた女だ、鏑木蓮の妻はお前しかいない、美希が俺の側にいるべきかどうかは俺が決める、だから俺の許可無しに勝手なことするなわかったか」

「はい、わかりました」

「よし、いい子だ」

そう言って彼は私の頭をポンポンした。

美希には申し訳ないが、これ以上危険な目にあわすわけにはいかない。

俺がいつも側にいてやればいいんだろうが、今はそう言うわけにもいかない。

美希、我慢してくれ。

美希はあいつに酷い目に遭ったのだろう。

絶対に許せない。

十年前に酷い言葉を浴びせて、自分からふったくせに、今更手放した事が惜しくなったんだろう。

力づくで自分のものにしようとしたに違いない。

美希は精一杯の抵抗を試みたが、無駄に終わったのだろう。

くそっ!