「美希と別れて分かったんだ、こんなにいい女はいないって」

「私とは身体の相性悪いんでしょ、満足出来ないんでしょ?」

「だからあん時は若かったから気づけなかった」

元彼に押さえつけられながら、抵抗出来ない自分が惨めで、涙が溢れてきた。
そんな私を見て、元彼は急に手を離し「ごめん」と言ってその場を去った。

嫌だ、どうしよう、手が小刻みに震えて息が苦しい、蓮さん助けて、どうしたらいいの。
辺りはすっかり暗くなり、どこをどう歩いたか覚えていない、自分がどこにいるのかわからなくなった、その時スマホが鳴った。

「美希、今どこだ」

「蓮さん、ごめんなさい」

私はスマホの電源を落とした。

「美希、美希」

俺は美希に何か重大なことが起きたと察知した。

すぐに元彼の存在が脳裏を掠めた。

美希、まさかあいつに酷い目にあったのか。

今日は確か昼間親父の病院へ行ったはずだ、また待ち伏せされたのか。

俺は考えが甘かった、昼間なら一人で出歩いても大丈夫だろうと鷹を括っていた。