この日帰宅した彼は、食事が終わるとすぐ自分の部屋に篭り、仕事を始めた。
深夜零時を回り、彼の部屋に様子を見に行くと、イスで仮眠を取っていた。

「蓮さん、もうおやすみになった方が……ベッドで寝てください、私と一緒が嫌なら私、ソファで寝ますから」

彼は目を覚まし呟いた。

「嫌な訳ないだろう、ベッドを共にしたら我慢出来なくなる、美希を抱きたくなっちまうからな」

思いがけず彼の本音が漏れた。
彼は我慢していたんだ、私が拒絶したから、私の心は彼にはないと思い込んだのである。



俺は美希に拒絶されて以来ベッドを共にしていない。

美希はまだあいつが好きなのか。

美希の気持ちは俺に対してないと言う事か。

俺達が夫婦になったのも、俺の強引な気持ちを美希が仕方なく受けてくれたからだ。

元々俺は美希に対して、溢れんばかりの愛情で接して二人の関係は始まった。

すぐに告白したかったが、親父に止められ、社員を目指した。