「へ?そうなんだ、意外だな」

彼からの意外と言う言葉に戸惑っている自分がいた。

戸惑いを隠すように話題を変えた。

「仕事はどう?」

「まあまあかな、彼氏いないなら俺と付き合ってよ」

彼の言葉に顔が赤くなるのを感じた。

「決まりな、今日から美希は俺の彼女だから」

急な展開に焦りを感じ、すぐにはこの状況を飲み込むことが出来ずにいた。

それから毎日彼とデートした。

大学の時、胸をときめかせた相手と六年越しに恋が実ったと、心弾む毎日だった。

でも、彼には他に女友達が沢山いた。

日に日にデートの回数が減っていった。

ある日彼と女性が一緒のところを見かけてしまった。

思い切って彼に聞いてみた。

「劉、この間一緒だった女性は誰?」

彼は一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、すぐに微笑んで「友達だよ」と私の肩に手を

置いて引き寄せた。

そして私の耳元で「彼女は美希だけだよ」と囁いた。

私は耳元にかかる彼の甘い吐息に、魔法にかかったかのような錯覚に陥った。