自販機で飲み物買おうとしたら小銭なくて、ちょうど通りかかった美希が奢ってくれたの覚えてるか」

「すみません、覚えてないです」

「その時結構喋ったけど、記憶にないのか」

「はい」

「偶然を装って何日か喋ったんだ、俺はすげ?楽しくて絶対に結婚するってそん時決めた。俺のことまったく眼中になかったってことか」

「すみません」

「社長になってプロポーズしようと思って、すぐにアメリカに渡米した、一年間必死に勉強した、毎日美希の事考えていたよ」

この時、おぼろげに記憶が蘇って来た。

総務部にいた、すぐに姿見かけなくなった、鏑木くん?

そうか、アメリカに行っていたんだ。

私にプロポーズする為に、社長になるために……

私はてっきりからかわれてると思い、彼の記憶を封印したのだった。

「じゃあ、俺のこと覚えてなかったお詫びとして朝まで寝かさないぞ」

彼は私を抱き上げてベッドに運んだ。蕩けるようなキス、舌が絡み合い激しさが増す、彼の手が私の胸に触れて、私は思わず声が漏れた。