実は私の血液型はRHマイナスで、すごく苦労した経験があった。

「あのう、私、RHマイナスです、私の血を使ってください」

そして私は男性に輸血した。

病室で休んでいると、白髪混じりの初老の男性が挨拶にやってきた。

「はじめまして、この度は坊ちゃんを助けて頂きありがとうございました、後ほど旦那様が到着されますので、しばらくお待ち頂けますでしょうか」

「あのう、お互い様ですから、お気になさらないでください」

「ありがとうございます、でももうしばらくお待ちいただけますようお願いします」

私は待たずに帰ろうと思った。

「失礼ですが、お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか」

「藤城美希です」

「では後ほど」

そう言って初老の男性は病室を後にした。

私は男性が坊っちゃんと呼ばれていることに、あまり関わりたくないと思い、病室を後にしたのである。

「あの時輸血が必要だったのが俺」

「えっ」

「あの時美希が居なかったら俺は今ここにいなかった」