「東條、お前が残って藤城に指導するのは許可出来ない、藤城が社に残らなければならないのなら桂木社長との会食はキャンセルする、俺が藤城の仕事を指導する」

「失礼を承知で言わせていただきます、それは私への信頼がないと言うことですか?」

「そうではない、藤城が他の男と二人きりなんて我慢出来ないだけだ」

「私のことは信じて頂けてないと言うことでしょうか」

気まずい空気が社長室に流れた。
どうしよう、私が口を挟むことが出来る状況ではないよ?

彼は口を開いた。

「俺の気持ちの問題だ、嫌なものは嫌なんだ」

「子供みたいな事を言わないでください、冷静になってください」

彼はふっと息を吐き、とんでもないことを口にした。

「俺は冷静だ、もし俺の言うことが通らないのなら、藤城は退職させる」

えっ何を言い出すの?私辞めさせられちゃうの?
どう言うこと?もう何がなんだかわからない。
そして彼の口から出た次の言葉は想像を遥かに越えた事だった。