「社長、もう起きて支度しないと迎えが来ます」

「いいよ、待たせておけば」

「東條さんに私が怒られます」

「美希が怒られるんじゃ駄目だ、起きるか」

彼は支度を始めて、私の作った朝食を初めて口にした。

「すっげ?うまい、美希は俺の性欲だけじゃなく食欲も満たすんだな」

性欲を満たすって、まだ最後まで行ってないのにキスして、抱きしめて、私の身体に触れただけでそれ以上は進まない。

私は恋愛経験が少ない、最後まで行ったのは一度だけ、しかも最初で最後の恋と思っていた、でもふられた、「美希とは身体の相性悪いな、満足出来ない」と言われて……

それから恋に臆病になった。
また満足出来ないとふられるかもと、脳裏を掠める。今、彼は好きって言ってくれる、この先付き合いが進み、最後まで行ったら嫌われるかもしれないと思ってしまう。

「美希、どうした?」

「どうもしません、支度してきます」

迎えが来て二人で会社に向かった。

会社に到着すると、早速仕事が待っていた。