それから機会があるごとに美希に近づき、会話を交わした。

話していると、益々惹かれていく自分がいた。

命の恩人以外に色々な場面で美希は、俺の気持ちを大きく膨らませていた。

絶対に誰にも渡したくないと言う気持ちが大きくなった。

結婚して俺の腕の中で愛したいと、気持ちを止めることが出来ずにいた。

親父の会社の社員だったことが、俺に取ってラッキーと言わざる負えない。

だが、道のりは険しかった。

親父の会社と言えども、容易く社員には慣れず、不合格と言う不名誉を味わって、やっと合格に辿り着けた。

社員になったも、親父から「社長になってから彼女にお礼を言うんだ」と言われていた。

それから俺は必死に仕事に打ち込んだ。
右も左もわからない業界で、猛勉強した。

仕事の合間に休憩室で美希と会うのが唯一の楽しみだった。

待ち伏せしていたのに、偶然を装い「また会ったね、偶然」なんて、自分でもおかしくなる。

そんな俺の気持ちに美希は全く気づかない様子だった。