その時彼のスマホが鳴った。

「なんだよ、これからだって言うのに、はい、鏑木です、わかりました、調べて折り返します」

私はこの隙にソファーから抜け出し、衣服の乱れを直した。

そして社長室から逃げ出した、もう何が起きたのこれは夢?気がつくと自宅に戻っていた。

逃げてきちゃった、どうしよう……

その時スマホが鳴った。

「美希?どこにいる?悪い、気持ちがMAXになって我慢出来なかった、でもいい加減な気持ちはない、俺と結婚してくれ」

何を言っているのか理解出来なかった。

「すみません、混乱して、切ります」

私はスマホの電源を落とした。

あ?どうしよう、いろんなことが交錯して涙が溢れてきた。

この時彼の私に対する気持ちに気づくことは出来なかった。



美希とは初対面ではない、やっと探し当て、社長まで上り詰めた。

俺の中で美希は命より大事な存在だ。

俺が今こうして生きていられるのも、美希のおかげと言っても過言ではない。

その時から決めていた、結婚するならこいつだと……