望月は親父の病状を心配してくれた。

「親父さん、大丈夫なのか」

「仕事は引退だ」

「そうか、じゃあ、お前が社長か」

「そうだな、これから忙しくなると思うから、今日は報告の為に呼んだ」

「お前、かなり印象が変わったな、まるで別人だぞ」

「そうか?」

この時望月が思ったくらいだから、相当蓮の印象は変わっていた。

「いよいよ、彼女に告白か」

「ああ、三年だぞ、もう気持ちが溢れてコントロール出来ないかもしれない」




私は三十八歳を迎えていた。

大学卒業後入社した会社で十六年間経理部にて働いていた。
そんな私の前に現れたのが、社長に就任したイケメン御曹司鏑木蓮二十六歳。

就任挨拶の日、会社内を見て回りたいと各フロアにやってきた。経理部のフロアに彼が来ると、女性社員は独身の彼をゲットしようと、目を輝かせた。

一人一人の顔を確認した彼は、私を見つけると顔を綻ばせながら近づいてきた。

「名前を教えてくれ」