いつも沈着冷静な東條が珍しく平常心を失っていた。

「わかった、すぐ戻る」

俺はアメリカでの事を全て片付けて、日本に戻ってきた。

まずは親父の病院へ向かった。

「親父、大丈夫か」

「おお、蓮、すまんな迷惑かけて」

親父の口から出たと思えないような言葉だった。

「大丈夫だよ、それよりゆっくり休め、会社のことは俺が引き受ける」

「そうか、頼もしいなあ」

「当たり前だろ、親父の息子だからな」

そして病院を後にした。

会社に戻り、引き継ぎ業務を行った。

俺が鏑木建設会社の社長に就任した。

東條が俺の秘書になった。

「東條、よろしく頼む」

「かしこまりました、まずは全社員に向けて社長就任の挨拶になります、段取りを組みますので、蓮様は引越しの片付けをしてください」

「わかった、今晩はプライベートの時間に使っても問題ないな」

「はい」


俺は早速望月に連絡した。

「おお、蓮、いつ戻ったんだ」

「今しがた戻った、親父が倒れて呼び戻された」