「退院されましたよ」

「そうですか、ありがとうございます」

望月は俺のスマホに連絡を入れた。

「望月、この間は済まなかった」

「そんな事はどうでもいい、美希ちゃん、退院したのか?」

「いや、まだだ、退院の許可は降りていないはずだが……」

「今、病院に来てるんだが、美希ちゃんは退院したぞ」

俺はまさかの事態に呆然とした。

「病院に連絡してみるよ、情報ありがとうな」

俺は早速病院へ連絡を入れた。

「鏑木と申します、妻がお世話になっていると思いますが、退院したのですか、私の方に連絡頂いておりませんが」

「少々お待ち下さい、今、担当医に変わります」

美希の担当医が電話口に出た。

「お電話変わりました、鏑木美希さんは退院の許可がおりましたので、本人にお伝えしたところ、ご主人様はお仕事がお忙しいとのことで、一人で退院されるとご希望がありましたので、午前中に退院されましたよ」

「わかりました、大変お世話になりました」

俺は電話を切った。

美希、何を考えてるんだ。