「大丈夫だ、美希ちゃん、ありがとう」

私は心の中で望月さんの気遣いに感謝した。

望月さんは蓮さんに一言投げかけた。

「蓮、お前が美希ちゃんを守れないなら、俺が美希ちゃんを守る、覚えておけ」

望月さんは病室を後にした。

蓮さんは私をベッドに誘導して寝かせてくれた。

「望月がごめん」

「望月さんは何もしていませんよ、私が泣いてるところへお見舞いに来て慰めてくれただけです」

「泣いていた?なんで泣いてたんだ」

「蓮さんを縛っちゃいけないなって思って、私は蓮さんの側にいちゃいけないのかなって思ったら、涙が出てきただけです」

「俺は縛られていると思っていない、それに美希は俺の側にずっといていいんだ、俺の妻なんだから」

「そうですね」

「会社の前にいた女性のことだが」

そこまで言いかけて、美希が言葉を遮った。

「麗子さんですよね」

「どうして知ってるんだ」

「麗子さんがお見舞いに来てくれたんです、恋人に振られて、兄のように慕う蓮さんに頼ったって聞きました」