次の日、出社した時、思い切って彼女に聞いてみた。

「藤城さんは結婚してますか」

彼女は目を丸くして、驚いた表情を見せた。

「結婚はしていないです」

「じゃあ、付き合っている人はいますか」

「いないです、なんでそんな事聞くんですか」

「気になるからです」

「おばさんをからかわないで下さい」

彼女はちょっと拗ねた表情を見せた。

「藤城さんは、おばさんじゃないし、からかってなんかいないです」

「鏑木さんはおいくつですか」

初めて俺の事聞いてくれたからテンションが上がった。

「俺は今年二十三です」

「お若いですね、ひと回りも私が上です」

「全然見えないですよ」

彼女は恥ずかしがり俯いた。

俺はデートを申し込みたかった。

しかし、親父に釘を刺されていた、立場を考えろと……

それにもう時期アメリカに渡米するのに、からかわれていると思われては俺の人格に関わるので、ここはグッと堪えた。

そして俺はアメリカに渡米した。