十五分ほど廊下で待っていたら、ようやく蒼葉が戻ってきた。

「もういいの?」
「ああ」

 蒼葉はすっきりしたような顔で笑うと、ぼくの髪をくしゃくしゃと撫でた。

「ありがとな」
「……うん」

 一人で蒼葉を待っている間、聞きたいことがたくさんあった。ユリさんとはどんな話をしたの。ちゃんと言いたいことは言えたの。でも、蒼葉の表情を見たら、そんな疑問は全て解消されてしまった。

 ぼくたちはまた、どちらからともなく手を繋いだ。