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「なぁ、じいちゃん!ここでいいのか?」
セミの声が耳につく夏の日。
夏休みというのに、俺はじいちゃんの引っ越しの手伝いをしている。
じいちゃんは足腰が弱く、一人で生活をするのは厳しい。なので、俺の家の空き部屋に引っ越しが決まった。
「とりあえず、そこに置いといてくれ!」
足腰が弱いという割には元気がある。
俺がいつもじいちゃんの家に行くと、小言をいつも言ってくる。
本当にうるさいと感じるほどだ。
だけど、俺はそれほどじいちゃんのことが嫌いではない。
うるさいと感じる小言は俺のために言ってくれている、と分かっているから。
「足は大丈夫なのか?」
だからこそ、じいちゃんのことが心配になるわけだ。
人がこの世から居なくなるという恐怖を俺が一番知っているから。愛する人を亡くすのは辛いことを知っているから。
「そんなこといいから、さっさと荷物持ってこい!」
じいちゃんはこんなことを言っているが、満更でもなさそうだ。
「はいはい」