「ちづる、俺が好きか?」

「はい」

「二度と俺から離れないと約束出来るか」

「はい」

海堂さんは私を抱きしめてくれた。

お互いに我慢していた感情が溢れ出した。

首筋から胸へ海堂さんの唇は熱を帯びた状態で、狂おしいくらいに私を求めた。

朝まで海堂さんの情熱の炎は消えなかった。

「ちづる、おはよう、すぐに婚姻届を出しに行くぞ」

「本当ですか」

「何も心配はいらない、俺だけに着いてこい」

ちづるは頷いた。

俺はちづるから離婚を切り出された時、途方にくれた。

説得しようにも、ちづるは納得しないだろう。

自分さえ我慢すればいいと思う女だ。

俺に対しての溢れる想いは感じていた、しかし、その気持ちを封印されたら打つ手がない。

俺がいないと生きていけないくらいに、気持ちを抑えられないくらいにしたかった。

俺はあっさりと離婚に承諾した。

敢えてちづるに冷たく当たり、充を利用して、充との距離を縮めさせた。

これは俺の賭けだった。