「海堂さん」

海堂さんは私の肩を掴み、私の身体を離した。

「俺達はもう、夫婦じゃない、そんなつもりで誘ったんじゃない」

「じゃあ、なんで私を側に置いておくんですか」

つい、海堂さんに食ってかかってしまった。

「心配だからだ」

「心配?」

「それならなんで離婚したんですか」

「離婚を申し出たのはちづるの方だろ?」

「それはそうですけど……」

沈黙が流れた。

確かに離婚は私が言い出した事だ。

それなのに食ってかかって、私が悪い。

「さっきの人と結婚するんですか」

「どうかな、まだわからない、どうしてそんな事聞くんだ」

「どうしてって、仲良さそうだったからです」

「ちづるはどうなんだ」

「何がですか」

「充と結婚するのか?」

急に充の名前が出てきてびっくりしてしまった。

「充とは結婚しません」

「そうか」

私は思い切って自分の気持ちをぶつけた。

「私をもう一度お側に置いてください」

海堂さんは私を見つめ、そして、私を抱き上げ、寝室に運んだ。