でも、自分から離婚を申し出たにも関わらず、私は海堂さんの態度に寂しさを感じずにはいられなかった。

急に声が聞きたくなって、スマホに電話をしてしまった。

「あのう、あっ、怖い夢見ちゃって、眠れなくなったんです」

「そうか、じゃあ、少し話するか?」

「いいんですか」

私は嬉しくて思わず声のトーンが上がった。

「変な奴だな、そんなに嬉しいのか、俺と話す事が」

「はい、あっ、いえあのう」

「嬉しいなら嬉しいっていえ、素直になれ」

「嬉しいです」

「ちづるは可愛いな」

それからたわいもない話を永遠と続けた。

「大変です」

私は窓から外を見て白々と夜が開けてくるのを目の当たりにした。

「どうしたんだ、大きな声をあげて」

「朝になっちゃいました」

どうしよう。

俺は部屋のカーテンを開けて外を見た。

「ほんとだ、朝だ」

「ごめんなさい、海堂さん、お仕事なのにおしゃべりに付き合わせてしまって」

「大丈夫だ、俺を誰だと思ってるんだ」

「えっ?どう言う意味ですか」