「ちづる、手術は受けた方がいいと、先生が言っていたぞ」

「ですから、私と離婚してください、そうしたら手術を受けます」

「じゃあ、こうしよう、ちづるが手術を受けたら離婚するよ」

「本当ですか?」

「ああ、約束する」

「それなら手術を受けます」

「俺からも条件がある」

「なんですか」

ちづるは何を言われるのかとドキドキしていた。

「手術後、離婚が成立しても、俺の前から姿を消さないと約束してくれ」
ちづるはどう言う事かと首を傾げていた。

「連絡先は変えない、引越し先は俺のマンションの近くにする事、俺からの連絡には必ず返信する事、いいか」

ちづるは少し考えてから頷いた。

「よし、決まりな」

私は不安の波に押し流されそうになっていた。

何故、またこんな目に遭うなんて。

海堂さんは手術の前、全て準備万端、整えてくれた。

海堂さんのマンションの近くに引っ越しを済ませ、離婚届けも用意してくれた。

「ちづる、これにサインしておけ、手術が終わったら提出しておく」