「そろそろ、海堂さんって呼び方変えろ、慎って呼べ」

海堂さんは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

海堂さん、かわいい。

「はい、はい」

「だから、はいは一回でいい」

「はい、慎」

慎は私の呼びかけに驚いたような表情を見せた。

私をじっと見つめて「素直だとなんか調子狂うな」と言いながら嬉しそうだった。

それ以来、ちづるは日に日に弱っていった。

ベッドに寝たまま、笑顔も少なくなっていった。

まさか、このままと不安が脳裏を掠めた。

俺の愛する人は、俺の元から去っていくのか。

頼む、ちづるを連れて行かないでくれと、神に祈った。

俺は毎日ちづるの病室へ仕事帰りに寄った。

ちづるの寝顔を見るだけで帰る日もあった。

今日もちづるの手を握り、早く元気になれと囁いた。

俺は知らないうちに眠ってしまったらしく、ちづるに起こされた。

「慎、慎」

「ちづる?俺、眠っていたのか」

「疲れているのよ、毎日来なくて大丈夫だからマンションに帰ってゆっくり休んで」