「そうか、じゃあ、改めてちづるのファーストキスの相手は誰だ」

俺は息を呑んでちづるの言葉を待った。

「海堂さんです」

「マジか、そじゃあ、ちづるを抱いた男は俺だけか?」

ちづるは頬を真っ赤に染めてコクリと頷いた。

「充とは何にもなかったのか」

「何にもありませんよ」

「嘘じゃないだろうな」

ちづるは俺をまっすぐ見つめて答えた。

「嘘じゃありません」

俺は嬉しさのあまり、ちづるを抱きしめた。

それから毎晩ちづるを抱いた。

俺はちづるとの子供が欲しかった。

しかし、中々子供は授からなかった。

そんな時、ちづるが体調を崩した。

俺はてっきり妊娠したとばかり思い、産婦人科へ行くようにちづるに促した。

ところがちづるはとんでもない事を口にした。

「海堂さん、私、子供出来ないんです」

「えっ?どう言う事?」

ちづるはゆっくり話し始めた。

「八年前、子宮筋腫が見つかり、子宮全摘出手術をしたんです、だから妊娠出来ないんです」