「だから、どうぞ」

俺はちづるに近づき、腕を引き寄せ、キスをした。

ちづるは驚いた表情を俺に向けた。

「今日からまた一緒に寝るぞ、いいな」

俺は仕事に出かけた。

ちづるを信じよう。

ちづるが充を知らないと言うなら、その言葉を信じよう。

俺を受け入れてくれたんだ、あの表情と感じてくれた気持ちは嘘じゃない。

二股をかけられる女じゃない事は、俺が一番わかっている事じゃないか。

充がちづるを欲しいが為の嘘を言ったのかもしれない。

自分の妻を信じられなくてどうするんだ。

俺は自分に言い聞かせた。

私は海堂さんの言動が理解出来ずにいた。

仙道さんのことは話さなくてもいいと判断したことが、海堂さんを傷つけてしまう事になろうとは夢にも思わなかった。

この日また、仙道さんがマンションにやって来た。

「ちづる、開けてくれ」

「充?もう来ないで」

「どうしてだ、お前を幸せに出来るのは俺だ、お互いを想いあっているからこそ、幸せに繋がる、慎が愛しているのは自殺した彼女だ」