しかし、彼女が慎に救いを求めて来た時、突き放す事は出来ないと、慎の中で答えは決まっていたにも関わらず、俺に相談して来た。

俺は何も言わずに、自分の気持ちのまま進めとアドバイスをした。

慎は彼女と進む道を選んだ。

しかし、彼女の心が折れていた事に慎は気づいてやる事が出来ず、彼女に寄り添ってやる事が出来なかった。

結果、彼女は自殺を選んでしまった。

慎は彼女を確かに愛していた。

でも今も愛し続けているかと問われたら、それはノーだろう。

今はちづるを愛しており、決して同じ過ちを繰り返さないと固く心に誓っている。

しかし、ちづるは自分は愛されていないと思い込んでいる。

俺はこの時、慎の気持ちをちづるに伝える事を怠った。

ちづるを奪い返すと心が震えた。

「ちづる、愛されていない関係ほど不幸な事はないぞ」

「わかってるよ、だから充の時だって、充の前から消えたんだよ」

「なあ、ちづる、慎の前から姿消せ」

「えっ?」

「今度は俺と一緒だ」

「充」