「えっ、あ、だ、大丈夫です」

どうしよう、全然大丈夫じゃないよ。

なんで日本に来たの?

私に会いたがっているなんて何故?

車の中で私はずっと黙っていた。

徐々にマンションに近づくに連れて心臓がドキドキして来た。

「ちづる、充は俺とよく似た性格だから、そんなに緊張しなくても平気だ」

知ってる、でもどんな顔で会えばいいの?

もしかして意識しているのは私だけ?

仙道さんは私のことなんかなんとも思っていないのかもしれない。

「充」

「うまく行ったか?」

「ああ、ちづるを奪い返した、ちづると一緒にそっちに向かっている」

「そうか、良かったな」

八年振りのちづるとの再会。

ちづるはどう思っているのだろうか。

お前が愛しているのは誰だ。

慎なのか、それとも俺か。

その時インターホンが鳴った。

ドアを開けると、慎が立っていた、慎の背中に隠れるようにちづるの姿があった。

「充、ただいま」

そしてちづるを自分の背中から前へ押し出した。

「充、ちづるだ」